うつ病・不安障害日記

毒親の両親に育てられ、成人後ひどいうつ病を発症した毒子日記です。

夜の海の航海

ここ数年ぐらい、うつ病で自殺するような人たちが、自分の身体の周りにべっとりくっついてまとわりついているような感じで、私を同じ心の闇にひきずりこもうとしているような感覚がどうしても抜けなかった。
 そういう人たちの手を引っ張って、世間から逃れようと山の方へ走って逃げるという夢も見た。そういう行為をすると社会的には抹消されることになっていて、自分はそれでもいい、仕方ないと思っているという夢だった。
 ゾンビが墓の中から手を伸ばして生者を死の世界へひきずりこもうとしているのと同じようなイメージで、どこへ行っても、彼らが私の耳元でささやく、「あなたと私たちは同じなのよ。何も違わないのよ」
 10歳から反復して読み続けている「ノルウェイの森」(村上春樹)の本が開けなくなった。今まで読んでいた箇所が全く違った意味合いで受け取れるようになってしまった。以前は読み飛ばしていたところが、あまりにも自分の状態とそっくり...で、言っている言葉も使っている言葉も登場人物の病者と同じなので怖くなってしまったからだ。私も自殺した直子のようになってしまうのではないか、自殺したうつ病の人たちのようになってしまうのではないか、いや、そうならなければいけないのではないか、いや、本当は私はそうなりたいのだ、そうなりたいに違いない。。。闇の住人に、死の世界の住人に。
 こういうのを闇というのだと分かった。治らないかもしれないという不安を抱えながら先の見えない人生をいくことなど大したことではない。治りたくないと思うことが、真の闇なのだ。私はその闇の中でもがきにもがいて、非生産的なこと、無駄なことも無意味なこと、本来の自分と違うこともたくさんやった。じっとしていられなかったのだ。深刻な精神的危機に陥っていたのかもしれない。体重も減ったし、身体が震えた。
 こんな体験は人生で初めてだ(当たり前だ)。しかし最近その闇からだんだんと持ち上がりつつある。体重も戻ったし、家で静かに本も読めるようになった。手を伸ばして崖を這い上がるというより、腰のあたりからぐわっと体が持ち上がっていく感覚である。これが闇の底までいって、闇をくぐりぬけてより高次の次元にたどりつくということなのだろうか。そして今その過程にいるのだろうか?もしそうだとしたら、これはそら恐ろしい体験だ。